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さくらの一族は、北海道で企業経営を行っている。
祖父母が代表で健在だったころは、両親と共に、さくらは本土で暮らしていた。
都心にある支店の経営を任されていたからだ。
その頃にさくらと美百合は出会って、同じ学校の初等科で過ごしたわけだが、祖父の体調に不安が出てきて、学校のひと区切りを待って北海道に戻った。
だから出身を聞かれたら、さくらは北海道だと答えている。
でも今は、
「大学がアメリカでね。今はあっちで暮らしてるんだ」
大学在学中にカメラマンという職を得て、生活拠点はアメリカに定まりつつある。
ひとり娘だが両親は元気だし、今は親族経営という時代でもない。
幸いにも両親から、
「さくらの好きにしていいよ」
と言ってもらえているのだが。
「ねぇ美百合、結婚して幸せ?」
つい、さくらは聞いていた。
美百合は、
「ん?」
顔をあげ、よく聞き取れなかったと聞き返してくる。
「ううん、なんでもない」
さくらは首を振る。
「なんでもないよ」
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