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龍一が作ってくれたのは、豚バラネギ鍋だった。
太くて甘いネギを豚バラで巻いたものが、土鍋に敷き詰めてある。
スープは鶏ガラ、うっすら醤油味。
仕上げに加えた、たっぷりのレタスがシャキシャキして美味しい。
龍一が手際よく取り分けてくれるオプション付き。
「ネギが熱いから気をつけて」
忠告はイヤミじゃなくて親切だと思いたい。
確かに気をつけないと、熱々のネギが口の中に飛び出してきてヤケドしそうだ。
「熱っ!」
注意されたにも関わらず美百合は叫んで、
「だから言っただろう。ほら水」
龍一に世話を焼かれていた。
美百合の隣には龍一。
さくらはふたりの相向かいに座っている。
さくらは、ふたりのやり取りをジッと見て、それから箸を置いた。
綺麗な箸使いをする龍一を眺めていると、その視線に気づいたのか、
「何か?」
こちらに顔を向ける。
さくらは、
「いえ」
うっすらと笑みを浮かべた。
「この家に監視カメラが多いのは、どうしてかしらと思って」
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