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人は熱いものを口にするとき、ヤケドしないように手元に意識を集中する。
他のことはあまり考えない。
つまりその瞬間に、物事の確信をぶつけてやれば、一番正直な感情を見ることが出来る。
普通なら隠せないし、隠している余裕なんかない。
そして龍一は、
「……」
一度ゆっくりとまばたきをした。
「!」
再び開けた茶色い瞳の中に、これまで無かった光を見た。
今までは意図的にさくらを無視していた目の中に、どこかおもしろそうな、さくらを計るような挑戦的なきらめきが生まれる。
「監視カメラ? おもしろいことを言う」
龍一も箸と小鉢をテーブルの上に戻す。
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