2.たくさんのびっくり箱

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龍一は余裕たっぷりな様子で長い足を組み、重ねた手のひらを乗せる。 「一般的には、それは防犯カメラと呼ぶのではないでしょうか。アメリカにいらっしゃるせいか、少し日本語をお忘れらしい」 さくらがアメリカ在住だということは、美百合にしか教えていないはずだ。 それなのに、キッチンで料理をしていたはずの龍一が、ちゃんと知っている。 これで監視カメラではないと、どの口が言うのか。 「あいにくですが、職業柄、目はいいんです。お庭や玄関にあったソレは確かに防犯カメラと呼んでもいいと思いますけど――」 さくらはわざと龍一から視線を外して、天井を見上げる。 ダイニングキッチンの天井からぶら下がっている照明。 料理をより温かに彩ってくれそうなキューブ型の照明器具の陰から、小さな筒状のカメラのレンズがさくらを捕らえている。 これひとつではない。 美百合と話していたリビングの暖炉の上、お手洗いを借りるために歩いた廊下の天井にも、カメラを見つけた。 まさか個室には仕掛けていないと信じたいが、さくらが見つけられなかっただけかもしれない。
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