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さくらにカメラの存在を暴露された龍一は、
「……」
平然としていた。
それどころか、
「それぞれの家庭の事情に口を挟むのは感心しないな」
しゃあしゃあと言って、再び箸と小鉢を持ち直す。
「ほら、美百合もちゃんと食べろ。飲むならしっかり食べないと、明日二日酔いで苦しむハメになるぞ」
「ちょっと、ごまかさないで!」
さくらは椅子を鳴らして立ち上がる。
「夫婦間でもプライバシーはあるのよ。あなたのやっていることは、立派なDVだってことがわからないの」
家庭内DVの実情は表に出にくい。
買い物にも付いてくるような度を超えた束縛、カメラによる監視、友だちとの関係を制限する。
龍一の行動は、すべて社会的DV、美百合へのモラルハラスメントに見えた。
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