31人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
4.再会と別れと出会いの始まりと
まんじりともせず夜を明かすことになるかと思ったが、気がつけば朝を迎えていた。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
自分の神経のず太さに少し呆れるが、
「……」
隣で寝ている美百合の規則正しい寝息のせいだと思う。
クークーと、信じられないくらい熟睡している。
「美百合、朝だよ」
試しに揺り起こしてみるも、
「んーん龍一、あと五分」
呑気に呟いて、全然起きる気配もない。
夕べの出来事が、まるで嘘みたいだ。
でも夢や幻でなかった証拠が、
「……」
それはもう、無くなってしまった。
手は洗ってしまったし、こっそりのぞいた廊下には、なんの痕跡も残っていなかった。
はっきり見たはずの龍一の血も、綺麗に拭い取られていた。
最初のコメントを投稿しよう!