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体を寝かせ、手を伸ばしてみた。全く届かない。
こたつから体を半分出し、腕を伸ばす。届かないけど、良い感じだ。
少しずつ体とこたつが離れて行く。
限界まで体と腕を伸ばし、爪の先がみかんに触れた。もう、こたつには右足の親指しか入っていない。
だが、こたつから出ずにみかんを取れそうだ。
あと少し。
神よ、我に力を……
……
……
一大事だ。足がつった。
あまりの痛さに足が跳ね上がる。その拍子に、すねをこたつの足にぶつけた。
落ち着け、落ち着くんだ、落ち着いてくれ、私の痛みよ。
すねの痛みは少しずつ治まり、楽な姿勢へと体を動かす……からの、こむら返り。
痛みの波状攻撃だ。神は力を貸すどころか、試練を与えたというのか?
こたつから飛び出してしまった。
凄まじい敗北感を抱えながら、みかんを手に取る。とても柔らく、妙な感触が伝わってきた。
「みかん……腐ってる」
一部分が黒くなっていたみかんを見つめ、呆然とする。
こうして、私の休みは終わりを告げた。
【完】
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