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胸の鼓動の高鳴りを
うなじを抱き寄せ響かせる
おいでと呼んだらくるきみは
一度もこちらの目を見ない
電気を消した暗い部屋
溶け合う吐息に酔いしれる
わずかにあいたカーテンを
切り裂くか細い月明かり
ぼやけた視界の真ん中で
楕円に滲むプラチナが
ぼくの心を締め付ける
いつか訪れる終焉に
飲み込まれたりはしないから
ぼくのすべてをすきだといって
濃い色の石をぼくにくれ
乱れる呼吸の熱量を
くちびるに乗せて送り込む
シーツに向かって笑うきみは
一度も本気にしてくれない
鍵をかけたぼくの部屋
寄せ合う秘密に目が眩む
落ちてきそうな暗闇を
さ迷う生ぬるい予感
まどろむ意識の片隅で
冷たく潜む金属が
ぼくの体に絡み付く
いつかは醒める夢なんて
認めてしまいたくないから
ぼくのこころがほしいといって
濃い色の石をぼくにくれ
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