hug

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
今さら目を見て呼ぶなんて 多分ぼくにはできないよ あなただってそうでしょう 何度も熱を分かち合い 過ごした夜がくれたのは 思い出だけじゃないでしょう どうして言葉を求めるの ぼくの両頬をはさんだり 潤んだ瞳で見つめたり 薄情なあなたらしくもない その手が震えていることなんて 気づかなければよかったね あなたが心を拒むのは きっとおそろしいからでしょう 募るもどかしさはあるけれど ぼくはそれでもいいんだよ 理由なんてなくたって そばにいることはできるから 伝わらなくてもいいんだよ 怯えたあなたが息を呑む 何も言わなくていいでしょう 華奢な背中に手を添える ぼくが心をあげるから 力の限り抱きしめる 肩を濡らすのは汗か涙か 息を吸って息を吐く 同じ空気を分かち合い あなたとぼくがここにいる 今も確かに生きている ただそれだけでいいでしょう
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!