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春日部総合病院に配置された臨床研修医は蒼生を含め五人。
指導医として彼らを担当する医師”木在 尚幸”が、親身になって彼らの指導に当たる。
内容は多岐にわたり、スムーズな乳児健診や鎮痛剤による呼吸制御やアナフィラキシーなど、学習過程で習得したアレルギーに対する対応も事細かく指導される。
研修医のなかでも秀でた才をもつ蒼生は、同期たちには煙たがられる存在だ。逆に呑み込みの速さでも優秀である蒼生を、木在は特に期待の目を向け接していた。
「蒼生くん。今日はこれから予定あるかい?」
「木在先生。お疲れ様です。いえ、今日はもう特に何もないので、カンファレンスでのプレゼンテーションを見直そうと思っています」
カンファレンスとは早朝より行われる会議のこと。
後期研修医である蒼生は、担当患者――蒼生は小児科の担当医の補佐を務める――の病態のアプローチ法や評価をしたり、担当医やスタッフとディスカッションを交わすのが日課だ。
ときには厳しい指導の言葉も受けるが、それも含め研修医にとってはスキルの向上につながるので、非常に実のある時間と言える。
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