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「ああっ」
うなじから尻にかけ、背後は蒼生の弱点だ。そっと触れられても力が抜けるほど、くすぐったくて堪らない急所であった。
蒼生の反応に気づいた風城が、なにか思いついたのか頬を緩め口をひらく。
「俺は十年待った。千隼が言ったんだぞ、十年経ったらまた告白しろって。だから俺はこの十年我慢して、千隼を守れるぐれえ強くなって告ろうと、勉強もスポーツも努力してきたんだ。
今度は千隼が俺に応える番じゃねえの。一度した約束だろ、男なら破んじゃねえよ。それに言ったろ、拒否権はねえって。ぜってえ手に入れるぞ」
「おまえを」――そうささやくなり耳を食むと、マットレスへと蒼生を押し倒してゆく。
今まで生きてきて、これほどまでに求められ愛をささやかれたことがあるだろうか。風城の強い想いに胸が詰まるとともに、それは柔く解れて弛緩していく。
堪らず溢れる涙の粒は、先ほどまでの苦しい色ではなく輝きに満ちていて、この男を心より愛していると訴えかけるよう流れ落ちてゆく。
ああ、もういいや。大人の体裁や言い訳など、この若い虎のような男には一切通用はしない。蒼生は覚悟を決めると、愛する男の背に腕をまわし応えるのだった。
「んっ、あ、ああっ……ぅ」
食まれていた口唇からあごをつたい、のどから鎖骨へと風城の舌が這わされてゆく。肌をつたうたびに走る電流が、蒼生から理性という楔を抜き取っていった。
そのあいだにも風城の手は休むことなく、蒼生から着衣を一枚づつ剥いでいき、気がつけば裸体を晒すまでとなっていた。
上衣を脱がされたことで素肌に冷たい空気が撫で、這わされる舌と相まって肌が粟立つ。
「んっ、や……ああっ」
彼に与えられる快楽を享受しながらも、どうしてこんなにも手慣れているのかと、蒼生は考えずにはいられない。
これほどまでにいい男なのだ、彼女のひとりやふたり、これまでにいてもおかしくはない。けれど一度気づいてしまった彼への愛が、嫉妬という厄介な感情により蒼生をむしばむ。
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