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「あの、俺――俺あおい先生が……好きだっ!」
「えっ?」
急の告白に思考が追いつかず、何事かと疑問符を投げたところで、半ば蒼生は少年に飛びかかられる勢いで抱きつかれてしまった。
「痛った……――」
少年による容赦のないタックルで、蒼生は車窓にしこたま頭をぶつけ軽くめまいを催す。
「あっ、ごめん」
唸るような蒼生の訴えに、理性を取り戻した少年が身体を跳ね上げる。手を伸ばし蒼生の後頭部に添えると、ゆっくりと引きよせ体勢を元に戻した。
「ん……大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから。それよりも、ね。さっきのあれ、いったい何かな。僕のことを好きって、それは友達に向けるような好きって意味かな」
「違うっ! 俺は、俺は――俺は先生と恋人になりたいっ! 誰にも渡したくないし触れさせたくもないっ! ひとりの男として、あおい先生が好きなんだっ!!」
揺らぎのない声。澄んだ瞳を真摯に向け、少年は溢れる想いを蒼生にぶつけた。
少しの逡巡のあと、蒼生は少年に言葉を返す。
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