Karte.3 ふたりだけの甘い診察

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 ● ● ●  結局は風城に翻弄されてしまった蒼生は、この年下で愛情深い虎には敵わないと早々と白旗をあげる。自分を想いつづけた年月からして、彼にはすでに敵わないのだ。  激しく互いを求め愛し合った日から一年が経つ。  今日は風城の十九歳の誕生日だ。去年は木在の思わぬ行動で誕生日を台無しにされ、その後ベッドで幾度と愛し合い意識を手放した蒼生がつぎに目覚めたのは翌日の朝だ。  もとはと言えば風城が蒼生に無理をさせたのが原因なのだが、根っからの無自覚が風城に幸いし「誕生日を祝ってあげられなくてごめんね」と謝られた。  掛布から顔を出す様子が愛らしい。照れているのだろう、頬を染めながら謝辞を口にする蒼生が堪らずに、調子に乗った風城がまた身体を求めたのは言うまでもない。  リビングに残された包みは、木在が蒼生のために選び購入したものだ。最後まで蒼生は気づかなかったが、購入時にいなかった風城が聡く酌みそれを説明した。  事情を知った以上、それをマンション(うち)に置いておくわけにはいかない。けれど心なく捨ててしまうのも忍びなく、考え抜いた末に風城の母親が交際する相手につかってもらうことにした。  そのことがきっかけで蒼生は母親との距離を縮め、風城もまた母親それに交際相手との溝を埋めることができた。  今では家族ぐるみのつき合いで、母親と蒼生がともにつくった料理をふたりの彼氏が味わうという、なんとも妙で微笑ましい関係ができあがった。
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