パンダさま

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「鏡よ鏡、世界で一番面白い人はだぁれ? はい、それはパンダさんです」 「……尚くん、何してるの?」 「僕と咲さんとの出逢いを思い出して幸せに浸っていたの……」 「胸に手を当てて明後日のほう向くのなんだかおかしいよ尚くん」 今日は休日。 横浜の景色が綺麗なビルにある喫茶店で僕と咲さんはお茶をしている。咲さんはパソコンを見ながら書籍化もした大人気の小説『あなわた』の番外編を書いているところだ。 僕は鏡を見ながら前髪の角度を気にしてる。 だってモデルさんだもんっ。 「ねぇねぇ、僕に最初に読ませてよ~」 「ダメ、公開まで待ってて」 「えー、お願い、僕のピンクの飴あげるから」 「それでもダメ!」 「じゃあお絵描きする、僕、絵もなかなか上手いんだよ」 集中し始めた咲さんの真似をして僕も絵を描くことに集中する。 被写体は決めた、咲さんにしよう。ふふ。 僕はスケッチブックにペンを走らせた。 でこぼこの繊維に黒が塗られていく感じがたまらなく気持ちイイ。 その綺麗な髪と、読者さまを楽しませようと真剣になる目をしっかり描き上げたかった。 かっこいいな、咲さんて。 いつだって、読者さまのことを考えてすごいよ。 だって閲覧数とかすごすぎるんだよ? 怒濤の戦国時代のような恋愛カテゴリで常にランクインをしつつ、作者は決して気取らないサバサバ系のお姉さん。 僕が、何度助けられたかわかんない。
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