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中野さんと長谷部と柏木を、途中のJRの駅で降ろすと、俺の運転するアルファードは武蔵の家へと到着した。
車を駐車スペースへ入れて、俺たちは車を降りた。キャンプ道具はそのまま乗せておいた。
「悪かったな……せっかくのキャンプが台無しになって」
武蔵が彼らしくなくうなだれてそう謝ると、左腕を押さえながら家の中に消えていった。
「武蔵くんのせいじゃないのに」
フキはそのピンク色の唇を尖らせ、閉じられたドアに向かって言った。
俺はその唇が可愛くて、「そんな可愛い唇でスネても何にも出ないよ」とわざと言ってやった。
「もう! バカにして!」
フキのピンク色の唇はもっと尖った。
その唇を見ながら、俺は本音しか言わない、覚えとけ、とは言わなかった。
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