5. 三日月

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 キャンプ場での事件以来、俺たちはお互い連絡もしなかったし、会うこともしなかった。そしてそのまま夏休みは終わった。  しばらくぶりのキャンパスは、夏の名残りを残しつつ、しかしじわじわと確実に秋に向かっていると、並木道の落ち葉が教えてくれた。  学食でフキに会った。久しぶりに会った彼女は、また黒の長袖シャツを着ていた。それを見た俺はなんとなく「ああ、やっぱりフキだ」などと、なんの意味もなく思えた。  しかし、向かい合わせの席に座り俺は思わずフキの腕を取った。 「フキ、おまえ……」  フキの右腕にタトゥーが増えていた。前からある星の隣りに、青い三日月が彫られていた。 「どうしたんだこれ、なんかあったのか?」  フキは俺の手を振り払い、どことなく前とは違う目を俺から逸らした。俺は保護観察官失格か。
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