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「三国雪乃さんのことは警察が事故だっていうから、そうなんでしょう。素人の私がガラス柵が高いだけの根拠で考えるのもおこがましいな。探偵気取りで変なこと言い出してごめんね」
木原 愛は恥ずかしそうに目を伏せながらお弁当をカバンにしまっていた。
「そんな、私、三国さんの事故のこと真剣に考える愛さんのこと好きですよ」
真美の意外な言葉に驚いた愛は慌てて何か言おうとしたが、気の利いた言葉は出てこないで、若干小さくなったのど飴が口から飛び出た。
「あーーごめんなさい、ごめんなさい」
真美の前に転がった飴を急いで手でつまんでまた口に入れた愛はすぐ立ち上がって
「さぁ、お仕事頑張りましょう。行こう」
ゼンマイ仕掛けの人形のような、ぎこちなく硬い早歩きで休憩室を出て行く愛。
「愛さんもぉー待ってくださいよ」
笑いを堪えて立ち上がる真美。
昼休憩が終わりを告げる午後1時前の休憩室はバタバタと椅子を立つ者や職場に向かう者でごった返している。人の間をすり抜けるように真美は愛を追いかけて食品売り場へ向かった。
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