ポチ袋

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ポチ袋

「こ、これで私のファーストキス奪ってください!」  昨年の元日にできた、先輩の彼と付き合ってちょうど今日で一年。  その頃は「お年玉と一緒にこの台詞言えばイチコロだよ!」と友達の冗談混じりのアドバイスを真剣に受け止めちゃったけど、もう騙されたりしないからね。  先輩と二人並んでコタツに入って、年明けのテレビを見て、なんてことのない会話をして、そしてキスをする。  こんなに幸せなことってないよ。 「そうだ、今年は俺から告白したいことあるんだけど……」  先輩の言葉で目線が合う。 「なん、ですか?」  期待とドキドキと高揚と恥じらいが混ざるこの感情にはまだ慣れないかな。 「その、えーとな、今年はキス以上のことしてもいいか?」 「はえっ!?」  予想外の不意打ちにマヌケな声を上げてしまった。直後、きゅっと握られた手には昨年私が使ったポチ袋。 「あ、あのっ、ふ、ふちゅつか者ですがっ! よ、よろしくお願いしますっ!」  情けないほど言葉を噛んで、先輩の言葉を?みしめて、心が幸せに染まる。  これは私と先輩を繋ぐ幸せのポチ袋。  この後、先輩も私も顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。コタツにはみかんでしょ。って思いながらりんごが二つ並ぶお正月です。
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