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二人で軽い朝食を作る。部屋の広さに対して小さめな食卓。家庭の裕福さと彼ら二人だけしか住んでいないことを物語っている。
二人は向かい合って朝食をとる。
「今日はバイト入ってるんだっけ」食パンにバターを塗りながら現が尋ねた。
「ううん。今日は私たちのシフトは入っていないって店長言ってたよ」
「そう。よかった。今夜は晩酌できそうだね」
「うん。お酒の備蓄あったよね」虚が心配そうに尋ねる。
「大丈夫、先週買ったのがまだあったはずだよ」現は酒については忘れない。二人はアルコールに胸を躍らせていた。
朝食を食べ終えた二人はパジャマから大学へ行くための服装に着替える。半袖のTシャツにデニムのパンツ、その上にノースリーブのパーカーを羽織った。動きやすいスタイルだ。逆に言えばシンプルで双子がオシャレに無関心であることが現れている。
御揃いの斜め掛けの鞄に教科書類を詰め込む。服は男女で仕様が違うので区別できるが、こればかりは入違わないように色違いにしている。現は水色、虚は薄紅色。
壁に掛けられた時計が八時を示していた。
「行くよ、うつろ」先に準備を済ませた現が声をかける。上り框に腰かけて靴を履き替えていた。
「待ってよ、うつつ」虚は現のもとにかけていく。
現はそんな虚を見て優しく微笑む。
「さて、行こうか」
双子は手を繋いで部屋を出た。
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