お年玉で春は買えない

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 僕は風俗街で暮らしている。  といっても、体を売って生活しているわけじゃない。祖母が営んでいる風俗街のなかの小さな雑貨屋に住む、普通の高校生だ。  酔っぱらいが転がっている朝方の光景を尻目に学校へ通い、卒業に支障がない程度に授業を受けたら、帰って店番。夜更けの書き入れ時が過ぎたら、2階の自室に戻って眠る。  判で押したような生活も数ヶ月後の卒業式とともに終わるけれど、学校に行っている時間が店番に変わるだけ。  遅かれ早かれ、現行の建築基準法を満たさない古い雑居ビルが林立するこの街は終わりを迎えるだろうけども、終わるまでは変わらないと思う。変われないと思う。
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