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リアムはサーフェスと顔を見合わせた。
もしや、と些少ながらも抱いていた事柄を、クロエが明言したのだ。
藍鉄の巨人の動きはまるで間緩ささえ覚えるほどに緩慢で、動き始めと到達点が手に取るように分かった。
かといってその怪力は損なわれておらず、リアムが避けたその後は、岩壁も地面も粉々に抉り取られる。
直に受ければ無事では済まないだろう。
高揚する心気を抑えながらも、試すように戦っていたリアムだが、クロエの言葉で確信を得た。
強くなったのだ。リアム自身が。
格が違うのだと諭されたあの夜から、もう二年近くが経とうとしている。
背丈も随分と伸びた。
サーフェスとは並び立つようになり、クロエとは頭一つ分を裕に超えるまでになった。
顔に精悍さが増し、華奢だった身体つきもほどよく筋肉が乗り、幼さが目立った少年から青年へと変貌を遂げた。
二年の旅路を経て、ニーズヘッグとファフニールの支配を叶えたリアムは、あの夜とは明らかに違うのだ。
リアムを薙ぎ払わんと轟音と共に回された巨人の腕を、素早い跳躍で避けた。
空を振り切った巨人の腕の上に、トンと着地する。
それを肩まで勢い良くつたって駆け上がり、そこから更に跳躍した。
「ハッッ!!!」
跳び上がった先でデオスの切っ先を真下に向けた。
落下の勢いに任せて、巨人の脳天に突き刺した。
確かな手応えがあった。
深々と刺さったデオスによって、巨人の頭はひび割れた。
その隙間から煌々と光が洩れ出で、やがて洞穴内に溢れたかと思うと、瞬時にして巨人は砕け散った。
「やった!!」
着地したリアムは大きく右腕の拳を掲げた。
「よし!」
サーフェスも興奮気味に頷いた。
三人は駆け寄って背中を付け、次なる変化を待つべく構えた。
どうなるかは分からない。これから先は未知だ。
ただ一つ言える事は、アンフィスバエナに近付いたという事実で、それが最も重要な事柄だった。
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