1.letter

10/45
前へ
/45ページ
次へ
「お母さん方に悪気はないのよ。君がかわいいから、ついつい話しかけたくなるのよ。」 「いや、大丈夫です。何ていうか、あんなに人から注目されることがなくて、免疫が…ないっていうか~」 「まぁ、うちの旦那も初めはすごく話しかけられて、ビクビクしてたわ。」 「はは、そんな感じっす。」 創子さんは、カラカラっと笑う人だった。 「小早川 藤くんよね。君のママにはすごくお世話になっているの。 わたし、706の小野寺 創子です。」 「すみません。うちの母、変でしょ。話がすぐ飛びますよね。オチがないし、笑いのツボもずれてるし。」 「ふふ、私は、すごく合うんだけど、変なのかしら?」 「いやっ、そういうわけじゃなくて…あなたは、ステキです!」 創子さんは、目を真ん丸にして、吹き出した。 「ありがとう! あなたも、あなたのママもステキよ。」 多分、 いや、すごく、 気に入った。 一目ぼれってわけじゃない。何ていうんだろ? 雰囲気とか声とか、会話の空気っていうか、すごく心地よく感じた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加