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「ただいま。」
朝帰りなんて、久しぶりだな。大学の飲み会のときに始発で帰ってくるぐらいだから。彼女でもいれば、よくあるのだろうけど。
彼女じゃないけど、泊まって帰ってきた自分に、ちょっとにやける。思わず口元に手をやる。家がよそよそしい。いや、してないんですけど。
「ニヤニヤしているけど、飲みすぎておかしくなった?」
「うおっ。母さん、ただいま。昨日はごめん。」
悶々と考えていたら、目の前にいることに気がつかなかった。しかも、にやけ顔を見られた…
「大丈夫よ。創ちゃんが説明してくれたから。」
「えっ、どうやって?」
「あんたがかけてきた電話じゃない。覚えてないの?」
そういや、電話をかけてって言われたかも。
「ヤバい。あんまり覚えてない。」
他に迷惑かけてないでしょうね。って、呆れた顔で母さんが呟く。あっ、創子さんが来ること伝えないと。
「かあさん、昼前に創子さんが来るって。」
「やだっ、きっと、昨日は息子さんをって謝りにくるんでしょう。悪いわね~」
と言いつつ、嬉しそうだ。ケーキ買ってこようかしらなんて言っている。さっきのにやけ顔を追求されなくってよかった。
「すみれ、ケーキ買いに行かない?」
と妹に話しかける声を背に部屋に向かう。
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