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ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。パタパタとかあさんが向かう。
「こんにちは。小野寺、戸田創子です。」
「創ちゃん、いらっしゃい。ケーキがあるのよ、上がって。」
「ふふ、嬉しいです。ママさん、これケーキに合うかな。」
玄関からかあさんと創子さんの楽しそうな声が聞こえる。いつ出るべきか、ドアの前でタイミングを謀る。かあさん、早く呼んでくれよ!
「あら、美味しそうな紅茶。もしかして、駅裏のお店のやつ?あそこ種類が多くて気になってたのよ~嬉しい。」
「良かったです。藤くんから紅茶がお好きだと聞いていたので。」
「あら、あの子でも役立つときがあるのね。」
さぁ、呼ぶなら今だ!かあさん!
「早速いただきましょう。どうぞ。」
「すみません。ご馳走になりますね。」
呼ばれない…仕方なく、自ら登場。女の人って話し出すとさ、忘れるよね。
「創子さん、さっきはありがとうございました。」
そのさりげなく、リビングに顔を出す。
「こちらこそ、無理やり付き合ってもらってごめんね。ママさん、息子さんを朝までお借りしてすみませんでした。」
「いいのよ~創ちゃんのザルについていけなくって一人でつぶれてたでしょう。お役に立ったかしら。」
「はい、とても。やっぱり話を聞いてもらえるとスッキリしますから。ママさんにもたくさん聞いてもらいましたね。ありがとうございました。」
え~、そんなこと知らなかった…かあさんと本当に仲良しなんだ。
「これといって取り柄のない子だけど、聞き上手なのよ。」
「ふふ、分かります。」
誉めてるんだか貶しているんだか…居心地が悪いよ。
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