1.letter

29/45
前へ
/45ページ
次へ
待ち合わせは、映画館の最寄り駅。 同じマンションに住むのに、あえて待ち合わせるのが、秘密っぽくて、いい。 ただ単に創子さんに予定があって、時間の都合で現地集合になったんだけど。 まぁ、それはそれで、良し。 場所はマンションからも創子さんの職場の校区からも離れた、隣の市。 まぁ、面倒は避けるに越したことはない。 何であれ、俺は確実に、浮かれている。 その証拠に、40分前に到着。はは、バレたらちょっと痛い子。本屋で時間を潰し、10分前に駅へ戻る。 ちょうど、創子さんが出てきた。すぐに俺を見つけて駆け寄ってきた。 「ごめん、待たせちゃったね。」 「全然、さっき来たところです。まだ時間前だし。」 嘘だけど…横に並ぶ創子さんを観察。 ベージュのロングカーディガンに白のTシャツ、八分丈のデニム、赤いパンプス。髪の毛は仕事の時は結んでいるみたいだけど、今日は下ろしている。軽くパーマがかかっていて、肩の上でふわふわ揺れている。淡いブルーのピアスがチラッと見える。黄色のショルダーバッグ。シンプルだけど、小物の色が映える。 って、昼の番組のファッションチェックかよ。 はっきりいうと、ドストライク!
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加