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次は、意外と早くきた。
その日は、8頃に俺のバイト帰りと創子さんの仕事帰りの時間が合った。俺のバイト先は本屋で、だいたい閉店までいるから、家に着くのは11時近い。でも、その日はシフトの間違いで人が多かった。そのため、早めに帰らせてもらった。
「早く帰って何するんスか。彼女と会うんですか?」
「いないよ。観たいDVDがあって。」
バイト仲間に冷やかされながら帰ってきた。まぁ、予定はないんで宣言通りにDVDを観よう。って思ってマンションに着いたら、エントランスでポストをチェックする創子さんが見えた。
走って、玄関を開ける。足音に気づいた創子さんが目を上げる。
「おかえり。」
ふふっと、笑いかけられた。
「ただいまです。いつもこのくらいの時間なんですか?」
帰宅時間聞くって、ストーカーっぽい?
「お、俺は、たまたま早く終わって。」
慌てて自分のことを付け足す。
「うーん、そうだね。家に着くのは、8時前後が多いね。藤くんは、バイトの時はもっと遅いよね。今日は早く帰れて良かったね。」
「あっ、でも、予定ないんで、バイトしてても良かったんですけど。しかも、予定より早く帰って来たから、俺の夕飯はないかもしれないし。」
どうかな。ずるい言い方かな。ご飯、一緒にってならないかな。なんてちょっと期待して、目を逸らしながら話した。
創子さんは、少し考えているようだった。
「ラーメン」
なった!
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