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「塩チャーシュー麺と餃子、ビールでお願いします。藤くんも餃子食べるよね。すみません。餃子Wにしてください。」 慣れている。注文が早いよ。 「俺は担々麺で。」 「あれ、飲まないの?」 創子さんは、この間の失態を知りつつ、聞いてきた。 「俺、酒、弱いみたいなんで。」 「ふふ、あれはね、日本酒が悪かったんだよ。ビールは大丈夫そうだったけどね。」 「じゃあ、いただきます。」 「お兄さん、コップもう一つください。」 ラーメンの前に、瓶ビールが運ばれてきた。お互いに注ぎ合って、乾杯。 創子さん、一気に飲んだ。いや、コップ小さいですけど。一気って。2杯め、注がせていただきます。 そのあとは、ラーメンと餃子、ビールをもう一本追加して、ほろ酔いと満腹で店を出た。会計は創子さんが多目に払ってくれた。前回のときもそうだったが、だいたい1000円以下の細かいお金は創子さんが大目には払ってくれる。さりげなく、会計皿に置いちゃう。うまいんだな。 「ご馳走さまでした。」 「ご馳走してないよ、藤くん、払っているでしょ。」 「いや、俺、半分くらいしか…」 「私、社会人だから。これくらいはね。」 「でも、何か。」 「アイス。」 「へっ。」 「飲んだあとって、アイス食べたくならない?」 確かに冷たいものが欲しくなるかも。 「そこのコンビニでいいですか?」 コンビニでアイスを4つ買った。やっと500円くらい。創子さんは、ピノとチョコモナカが好きみたいで、安上がりになってしまった。袋をカサカサ言わせながら、マンションに向かって歩く。同じ家(部屋はちがいますけど…)に一緒に帰るのが、くすぐったい。 マンションに着いて、エレベーター前で創子さんにコンビニの袋を渡そうとした。 「寄っていく?アイス、たくさんあるし。」 行きますとも!
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