地元愛

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「なあ、みんなは卒業したらどうすんだ?」 「何だよ康平、藪から棒に」 「まあまあ、俺らも3年の夏なんだし、進路の1つや2つ…決めておかないとだろ?」 「………。」 「え…もしかして健、何も考えてないの…?」 「そういう舞はどうなんだよ?」 「私は、銀行員かなぁ。理想としては、そこから5年以内に寿退社…みたいな?」 「……お前モテるの…?」 「うっさいわね!あんたよりはモテるわよ!あんたよりはね!」 「舞ちゃん…どうどう」 「全く、健は相変わらずなんだから。桜はどうなの?」 「私?私はそのまま東京で働くつもりだよ。デザイン系か広告系の企業を受けようかなって思ってるんだ」 「さすがだよなぁ、桜は。ちなみに俺も東京に出て働こうと思ってるぜ?」 「げ、康平まで東京かよ…。ってか、お前実家の肉屋継がねえのかよ?」 「まーな、俺はやりたい事をやる。ゲームのシナリオライターとか?そういう男のロマンな仕事を…な」 「……マジかよ…お前はてっきり継ぐもんかと思ってた…なんか裏切られた感あるぜ…」 「え?じゃあ、お前はパン屋継ぐのか?」 「…まーな、今はそれでいいと思ってる」 「ほぼシャッター街のパン屋を継ぐとは…やめとけって」 「俺は、みんなみたいに東京に出たいとかは、あんまり思わないからさ。これでいいんだよ」 「ふーん?それじゃあ、たまには買いに行ってあげるわよ、二人の分も私が買ってあげるわ」 「舞…お前…」 「まぁ、お前がそう言うならこれ以上何も言わねーけど、たまには買いに行ってやるぜ、な?桜」 「ふふ、そうだね。健くんの作るパンも食べてみたいし」 「それじゃあ、卒業したら、本当にみんな、バラバラなんだな」
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