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その言い方もどうかと思うが、うちの親戚は一枚も二枚も上手だったってことか。ショックだけど、心当たりは他にもあるからすんなり信じられちゃう不思議。泣こうかしら。
「で、これが何なんだよ」
「正月に里帰りしたら渡されちゃって。お年玉ももう貰えないんだから、好きに使えって」
「で、俺にくれると」
「それは無いですけど」
チッ。
「でも、なんていうんですかねこういうの」
「あぶく銭?」
「そうそう。なんか、パーっと使っちゃいたいなぁとか思ったり」
「なるほど素晴らしい案だ。協力してやろう。くれ」
「いやです」
「どうせなくなるんだから良いじゃないか」
「良いですか、先輩」
諭すような口調は止めて欲しい。
「例えば十万あるとしますね? これを手元から無くすべく頑張るとして、デートで使うのとドブに捨てちゃうのとでは気分が違うでしょ?」
言いたい事は分かるが、俺はドブかね?
「パーっと使い切るにしても、有意義に使いたいわけです。つまり、有意義な浪費」
「有意義な浪費などこの世に存在しない。浪費って言葉の意味知ってるか? 平たく言うと無駄遣いって事だぞ。つまり、無駄な物なんだよ。そもそも浪費ってのは人に相談してまでする事じゃ無いし」
「なるほど。じゃあ何かインパクトのある使い道を考えてください」
「知るかよ。旅行とかは?」
「一人旅ですか? やった事ないなぁ」
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