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後日。
武智から小さな小包が届いた。
中から出てきたのは、ちんすこうやら即席の沖縄そばやら、要するに沖縄土産系の食べ物がいくつか。それと絵ハガキが一枚。写っているのは沖縄の浜辺らしい。分かりやすくシーサーが並べられている。
裏面には武智からのメッセージが書かれていた。
「先輩、現在僕は沖縄に来ています。残念ながら一人旅ではなく二人旅。彼女との仲直り旅行の真っ最中です。リゾートホテルのテラスでこのハガキを書いています。
先輩のおかげで目が覚めました。母親が貯めてくれた金だから、どうにか自分のために使おうとしていたのが間違いだったようです。この金で彼女と旅行しようと思った瞬間、体が素直に動いてくれました。どうやら俺は人を喜ばせることに金を使うのが好きだったみたいです。
そうそう、しばらく行けそうにないので、送った食べ物で飢えを凌いどいてください。 武智勉」
水滴の垂れる物が横にあったらしく、最後の一文字は滲んでいる。
トロピカルなジュースでも飲んでいるのだろうか。
俺はポットに水を汲み、湯を沸かし始めた。
沖縄か。
良いなぁ。
彼女とも仲直りできたんだな。良かったな。
俺なんて、今まで彼女がいたことすらないけどな。
て言うかさ、人のために使うのが好きなら、俺にくれても良かったんじゃないのか。
物凄く喜んだぞ。
もちろん、心からな。
なんで……
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