3日目

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驚くべきことに、三好は勉強を教えるのがすこぶる上手だった。集中力のない真季でも、なんとかできてしまうほどに。 そして山野から許しを得た2人は、正午よりずいぶん早く学校を後にした。 「そういえば三好くんて電車通学?」 「…駅まで歩いて電車」 「そっか、じゃあ私自転車だから駅まで荷物乗せてくよ」 三好の返事も待たずに、真季は彼のカバンを自転車の前カゴに入れた。そして自転車を押しながら、並んで歩き出す。 入道雲が勢いよく広がる夏空の下を、2人で歩く。青々とした稲が、時々弱い風で波のように揺れた。 田舎のあぜ道は日を遮るものが何もなく、強い日差しが直接肌に降り注ぐ。じりじりとした暑さを感じる一方で、夏の雰囲気が体全体に満ちていった。 「ついたよー。ここ、小さい頃によく来てたんだよね」 「駄菓子屋か?」 小さな商店の前に自転車を停めると、真季は古めかしい引き戸を開けた。奥のレジに座るおばあさんに挨拶をしてから、アイスのケースに三好を案内する。 「氷菓しかないな」 「駄菓子屋にそんな高級アイスなんてないよ」 お金がないというのももちろんあるが、真季はこういった所のカップかき氷が好きだった。
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