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9時丁度のチャイムが鳴る。今日も真季はプリントを受け取ると、昨日と同じようにぼんやりと空を眺めながらあくびを噛み殺していた。
肩甲骨に届く長さの髪は、暑苦しいので横で適当に結んでいる。それでも首筋にはじわりと汗をかき、真季のやる気を奪っていった。
(さっさとやれば、さっさと帰れるんだろうけどなあ)
そう思いながらもプリントに落書きをしつつ、また窓の外をチラリと見る。すると、
(わっ?!)
まさかのデジャビュ。昨日と同じように、鋭い目がこちらを向いていた。
(何で毎度窓から現れるんだ)
三好陸は窓枠に肘をつき、こちらをじっと見ている。真季は戸惑いながらも声を掛けた。
「おはよう」
すると今度は、三好が目を丸くした。しかしすぐにいつもの鋭い目つきに戻り、
「山野は」
とだけ尋ねてきた。山野とは、補習担当の教師のことだ。
「昨日も今日もサッカー部の練習見に行ってる。たまにこっち来るけど」
ふぅん、と小さな声で言うと、またもや三好は踵を返した。
「あっちょっと待って三好くん、プリント…」
すると突然、三好がこちらを振り返る。そしてまたじっと真季を見つめた。
「なんで俺の名前知ってんの」
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