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3日目にもなると、プリントの問題でわからない所も減ってきた。それでも相変わらずやる気はゼロのまま、今日も真季はあくびを噛み殺していた。
今日は一段と日差しが強く、暑い日だった。セミの声がうるさく響き渡り、空には大きな入道雲が広がっている。
真季はプリントの余白にソフトクリームの絵を描きながら、なんとなく昨日のことを思い出していた。
(やっぱり謎だらけだ)
真季もたいがいよくわからないと言われるが、彼ほどではないだろう。しかし、そんなミステリアスな部分が一部の女子達には魅力的に映るらしく、三好は一定の人気があった。
今日は帰りにアイスでも食べて帰るとしよう。真季が密かに決意を固めていると、教室の扉がまた勢いよく開く。
振り返るとやはりそこには三好の姿があった。
「おはよう」
真季の挨拶に一瞬気まずそうな顔をしたものの、小さく頷くと昨日と同じ席に座る。
「三好くんは数学得意なの?」
プリントを渡すついでに真季はふと尋ねた。三好はまた目を丸くしたあと、
「別に普通だって言ってるだろ」
とぶっきらぼうに答えた。
「いやでも私の何倍も解くの速いし。すごいなーって思って」
「お前は落書きとかしてるからだろ」
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