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今度は真季が目を丸くする番だった。まさか見られているとは。
「そんなにアイス食いたいのかよ」
「今日最高気温35度らしいから帰りに食べてこうかなって」
すると、三好は真季の方を振り向いた。相変わらず目つきが鋭い…が、なんだか呆れたようにも見える。
「…お前、能天気だな」
「暑いからなんも考えたくないんだよ」
真季はため息をつきながらも、内心嬉しく思っていた。
未だに三好は謎だらけだが、表情が少しは分かるようになってきた気がする。
なんだか、不思議な気持ちだった。
「あっそうだ三好くんも帰りに食べてく?」
「俺のが先終わるから無理だろ」
真季が調子にのって誘ってみると、三好はさっさと立ち上がりプリントを手に取った。
「えっ?もう終わったの?」
「だいたい」
「ちょ、ちょっと待って」
真季はびっくりして駆け寄った。三好のプリントを覗きこむと、確かにほとんど埋まっている。
「―…あのさ、お願いがあるんだけど」
「無理」
「まだ何も言ってないよ」
「どうせ見せろって言うんだろ」
「いやさすがにそこまでは言わないから、少し教えてくれたりとか」
「無理」
真季の懇願に取りつく島もない。
「アイスおごるから!この通り!」
駄目元で真季は手を合わせてみる。まあ無理だろうなー…と思っていると、高い位置からため息が聞こえてきた。
「さっさと終わらせてさっさと食って帰るからな」
「ありがたや!」
ハハーっと真季が目を輝かせて拝むと、三好は眉をひそめて言い放った。
「ちゃんと集中しろよ。落書き禁止」
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