こたつの中の世界

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青年の体は、首から上が床から生えたように出ており、その青年の物と思われる手が床から生えて、がっちりと私の足首を握っており、徐々に私を引きずった。 助けて、誰か!お父さん、お母さん! 叫ぼうにも声が出ずに、ずるずると私はひきずられ、とうとう私の下半身は床に埋まってしまった。 どんどん床に引きずり込まれる体。やめて!私をどこに連れていくつもり? 私はとうとう、首のあたりまで、床下にずっぽりとはまって、ようやくそこで声が出た。 「助けて!誰か!お父さん!お母さん!マミ!」 気が付くと、私はこたつの中で寝ていた。 なんだ、夢かあ。それにしてもすごくリアルな悪夢だった。 窓からサンサンと光が差している。朝なのか。 リビングのドアが開き、妹が入ってきた。 「私、こたつで寝てたわ。」 私が、妹にそう声をかけると、ちらりと見ただけで、興味なさそうにソファーに腰かけた。 何よ、かわいくない。無視? それにしても、お母さんがいない。 「ねえ、お母さん、どこに行ったんだろう?」 それでも妹は答えず、ただぼーっとしてる。何かが変だ。 私はなにげなく、間が持たないのでリモコンでテレビをつけてみた。 いつもの情報番組のチャンネルに合わせると、見たこともないような人たちが出演していた。 おかしいな。私は何度も、そのチャンネルの番号を押した。番組、変わったのかな。     
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