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こたつの中の世界
「お姉ちゃん、おこたで寝ると、風邪ひくよ。」
こたつの中でウトウトしていると、妹が私に声をかけてきた。
眠い目をうっすらとあけると、妹は風呂上りで髪の毛をドライヤーで乾かしている。
せっかく気持ちよくねてたのに。首から先だけをこたつ布団から出して、私は寝返りを打つ。
いいじゃん。もう少しここで寝かせてよ。
どうせ夜中には目がさめるんだからさ。
どれくらい時間がたったのだろう。
足の冷えを感じて、私は目がさめた。
ぼんやりと、ああ、私はこたつで寝てたのか。誰かにこたつの電源を切られたんだな。
そう思い、ノロノロと真っ暗なリビングのこたつから出て、自分の部屋へ戻ろうと、這い出そうとした。
ところが、足がまったく動かない。誰かに両足首をつかまれているようだった。
ははん、妹が私を脅かそうとして、つかんでるな?そんなやつは、こうじゃ!
私は、こたつをフルパワーにして、妹を追い出そうとした。
ところが一向に足首から手を放してくれない。
「いい加減にしなさいよ!」
私は叫びながら、こたつ布団をまくり上げた。
そこには見知らぬ顔があった。陰気な青白い青年の顔。
私は叫ぼうと思ったが、声が出ない。
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