せん/せい/と/ぷ/に/ちゃん

14/38
264人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
 なんだか、笑顔から威圧を感じた。すごく機嫌が悪いような気がする。多分、なんで俺がこんなダサいことをしなけりゃならないんだ、と思っているんだろう。 「なんだ、元気がないな。気持ちのいい朝は挨拶から始まるんだぞ」 「はあ」  笑ってない目でそんなこと言われても。 「あ、これ昨日のジャージ」  私がジャージを差し出すと、 「ありがとう(洗って返せよ。あ?)」  おにいちゃんが言葉の裏で威圧をしてくる。 「だ、だって乾かないと思って」 「確かに最近雨が多いからな(ちっ、仕方ねーな)」  解放された私は、おにいちゃんの機嫌をとるべく、いそいで購買に向かった。  おにいちゃんは、それ以降も変だった。お昼休みに焼きそばパンを届けたら、食っていいとか言うし、体育の時間、50メートル走をやれって言った後、ずっとぼーっとしてるし。明らかにおかしい。昨日、何かあったのだろうか。 「あ、あの、先生。タイム計測終わりました」  タイム表を手に声をかけたら、 「偉いなあ、川内は」  おにいちゃんが満面の笑みを浮かべ、わしわし頭を撫でてくる。私、犬かなにか? あと目が笑ってないから怖い。 「何かあったの?」  小声でそう尋ねたら、撫でる手を止めた。 「は?」 「だって、なんか変だよ」 「大人には色々あるんでちゅよ、ぷにちゃん」     
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!