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なんだか、笑顔から威圧を感じた。すごく機嫌が悪いような気がする。多分、なんで俺がこんなダサいことをしなけりゃならないんだ、と思っているんだろう。
「なんだ、元気がないな。気持ちのいい朝は挨拶から始まるんだぞ」
「はあ」
笑ってない目でそんなこと言われても。
「あ、これ昨日のジャージ」
私がジャージを差し出すと、
「ありがとう(洗って返せよ。あ?)」
おにいちゃんが言葉の裏で威圧をしてくる。
「だ、だって乾かないと思って」
「確かに最近雨が多いからな(ちっ、仕方ねーな)」
解放された私は、おにいちゃんの機嫌をとるべく、いそいで購買に向かった。
おにいちゃんは、それ以降も変だった。お昼休みに焼きそばパンを届けたら、食っていいとか言うし、体育の時間、50メートル走をやれって言った後、ずっとぼーっとしてるし。明らかにおかしい。昨日、何かあったのだろうか。
「あ、あの、先生。タイム計測終わりました」
タイム表を手に声をかけたら、
「偉いなあ、川内は」
おにいちゃんが満面の笑みを浮かべ、わしわし頭を撫でてくる。私、犬かなにか? あと目が笑ってないから怖い。
「何かあったの?」
小声でそう尋ねたら、撫でる手を止めた。
「は?」
「だって、なんか変だよ」
「大人には色々あるんでちゅよ、ぷにちゃん」
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