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大きな手のひらが、お腹の柔らかい部分を撫でた。
「腹、ぷにぷに」
「や、だ」
ぞくっとして、私は身を縮める。なんでこんなこと。
「おまえのせいなんだよ」
「え」
「彼女。おまえの話したら、すげー機嫌悪くなったんだ」
なんで? だとしても、私のせいじゃないし。おにいちゃんは私の頭を引き寄せ、唇を合わせた。
「!?」
くちびる、やわらかい。ちょっと開いた口の中に、おにいちゃんの舌が入り込んでくる。うそ、なんで? 頭のなか、くらくらする。
大きな手のひらが、私の頭を撫でた。口の中、なんか、変。ちゅく、と水音がして、私は身体を震わせた。おにいちゃんは唇を離し、囁いた。
「エロい顔」
身体がふるえる。なんで。
「う、っ……」
私はぼろぼろ涙をこぼした。おにいちゃんが珍しくギョッとする。
「お、い」
「ば、か、初めて、キス……」
私がしゃくりあげたら、
「泣くなよ。つーかそっちかよ」
おにいちゃんはため息をついて、私の目元をぬぐった。それから、唇もぬぐう。
「ん」
「嫌いなやつとのキスはカウントしなくていいんだよ」
「そ、なの?」
「ああ。だから泣くなよ」
そうか、よかった。私はホッと息を吐き、はっとした。
「よくないよ! いまの、全部セクハラだよ!」
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