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五木先輩が、持っていた鉛筆を置いた。女子に唇を重ねる。先輩はそのまま、女子の身体を弄り始めた。
「ん、だめだよ……」
「いいじゃん、誰もこないって」
そこで目を塞がれた。そのまま、ずるずる引きずられる。気がついたら、駐車場に来ていた。私は、ぼんやりと車を見た。これ、おにいちゃんの車かな。なんだか二重に見える。
「車、持ってたの?」
「こないだ買った。さっさと乗れ、ばかぷに」
私は車に乗らずに、尋ねた。
「先輩に彼女いるって、知ってたの?」
「……知らねーよ。さっき初めて見た」
「なんで、言ってくれなかったの」
「だから、知らないって」
「笑ってたんだ。馬鹿みたいだって」
私は声を震わせた。
「おにいちゃんなんか、嫌いだ」
「俺に当たったって仕方ねえだろ」
そんなのわかってる。でも止まらなかった。
「パシリにするし、セクハラするし、大嫌い」
「うるさい」
おにいちゃんが私の頭を引き寄せた。
「黙って泣け」
私は、おにいちゃんのシャツにしがみついて泣いた。
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