せん/せい/と/ぷ/に/ちゃん

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★  おにいちゃんの車に乗って、ポツポツと話す。 「一年のとき、初めてあの美術室で会った時に言われたの。絵のモデル、やってくれって。きみ 、かわいいからって」 「チャラいな」 「そう、かな」 「チャラいだろ。普通初対面の女にそんなこと言わねーよ」 「……そうなんだ」 「そんなに言われたきゃ、俺が言ってやるよ。ぷにちゃんはかわいいでちゅねー」 「おにいちゃんはふざけるからやだ」 「だから、ふざけないでかわいいとか言う奴は信用ならないって」 「好きな子には、言うんでしょ」 「まあな」  おにいちゃんの好きな子。おにいちゃんの彼女。どんなひとだったんだろう。  おにいちゃんは、私の自宅前に車を止めた。出て来た母親は、おにいちゃんを見て面食らった。 「まあ、昴くん!? 久しぶりねえ。立派になって」 「お久しぶりです。ふみさんが具合悪そうだったので、送らせていただきました」  おにいちゃんが、爽やか青年モードで言う。何度見ても感心する。この切り替えって、どうやってやるんだろ。  母親が、気遣わしげにこっちを見た。 「大丈夫? ふみ」 「大丈夫、ちょっと、目眩がしただけ」  母親はしきりにお礼を言い、おにいちゃんをお茶に誘った。     
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