せん/せい/と/ぷ/に/ちゃん

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でも、いつから大人だって言えるんだろう。  放課後、私ははるかちゃんに声をかけた。 「あの、はるかちゃん」  はるかちゃんは振り向かない。 「ねえ、はるか。放課後クレープ屋いかない?」  井岡さんが声をかけたら、はるかちゃんはすぐに反応した。 「いいねー」  そのまま席を立ち、歩いて行こうとする。 「はるかちゃん」  呼びとめたら、煩わしそうに振り向いた。 「なによ」 「あ、川内さん、プール補習なんでしょ。頑張ってねー」  井岡さんにそう言われて、私はうなずく。 「う、ん……」 「行こ、はるか」 「うん」  はるかちゃんは、井岡さんと一緒に行ってしまった。  教室を出た私は、プールサイドに来ていた。約束の時間まであと三十分くらいあるけど、練習しておこう。泳げたらアイスが食べられるんだ。軽くストレッチしてから、手すりにつかまりバタ足する。ふっ、と影が落ちた。 「!」  いきなり頭を押さえつけられた。息ができなくなり、全身に鳥肌が立つ。ようやく圧迫感がなくなり、私はぷは、と頭をあげる。はるかちゃんがこちらを見下ろしていた。 「はるか、ちゃん?」  彼女は冷たい目で私を見ながら、 「泳ぐんでしょ、ほら。頑張りなよ」 「やだよねー、先生に色目使うとかさあ」     
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