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私はその頃太っていて、足が遅くて、よく通学団から置いてきぼりをくらった。小学一年生の私は、泣きべそをかいて頷いた。
「仕方ねーな、乗せてやる」
おにいちゃんは私を自転車の荷台に乗せ、学校まで連れて行ってくれた。これだけならいい思い出だ。しかし、おにいちゃんはこのことを恩に着せ、よく私をパシリに使った。
「おい、ぷに。焼きそばパン買ってこい」
自分でいけばいいのに、おにいちゃんは誰も来ない廃工場のベンチに寝そべり、私にパシリをさせた。そのパシリも、私が通学団についていけるようになった小学三年頃にはしなくてよくなったはずだった。
しかし、小学校の高学年になると、今度は同級生にいじめられるようになった。ランドセルを四つ抱えて歩く私から、高2のおにいちゃんはランドセルを奪い取った。
「俺以外にいじめられてんじゃねーよ」
そして、小学五年に対し、口にするのも恐ろしい報復を成し遂げた。それ以来いじめはなくなったが、あの時見た悪魔のような笑みが、今でも脳裏に焼き付いている。多分、かちかち山のうさぎはあんな顔をしていたに違いない。
おにいちゃんは決して私のために報復をしたわけではない。彼はその頃、生徒会長とテニス部の部長という二大ストレスを受けていたのだ。言ってみれば憂さ晴らしである。
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