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何かを感じたかのようにキャルの体がむくりと起き上がった。少しレニーたちの様子を見て手を振るとまた横になった。
(呆れるよ、あんたには。休んでるってわけ?)
苦笑が浮かぶ。これだけを相手にしてその図太さに。
レニーは肩のせいで俊敏に動けずにいる。
「レニー! 私変わる、あんたを見てたから出来るから!」
マールが飛び出してきた。
「君には無理だ、ヤツを受け止められない」
「大丈夫、あんたを信じてるから」
キャルの下の球体が8匹になった時にキャルは起き上がって下に飛び下りた。
(無茶だ、キャル!)
(これだけに減らしてくれてありがとな、レニー。これならあっという間だ)
自分だけを取り囲んでいるせいで逆に身動きが取れなくなっている。その目をどんどん素手で潰して蹴り飛ばしていく。少し休んだおかげで体力が回復している。
3人ともそのキャルの姿に魅入られたように体がが止まった。
最後の一体を倒した時、頭から血は滴り落ちその中に白い歯が見え、ニッとキャルが笑ったのだと辛うじて分かった。こっちに向かって歩いてくる。
レニーの肩をぽんっと叩いた。
「帰るか」
そしてこの狩りは終わった。
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