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「くそ……わけわかんねぇ」
汚ならしい舌打ちと捨て台詞を吐いて、加藤君は店から出て行った。
それでいい。
加藤君はそのまま自分勝手に生きていけばいい。
加藤君と何度もデートをしたこのファミレスに、私はもう二度と来ることはないだろう。
一人残された私の、まずいコーヒーは今日も冷えきっている。
「きよこ」
名前を呼ばれて顔を上げる。が、あたりには誰もいない。空耳だろうかと首をひねっていると、また聞こえた。
「きよこ」
確かに呼ばれた。
立ち上がり、仕切りの壁から隣のテーブルを覗き込んで愕然とした。
湯気の出ていないカップを手にした私の婚約者が、そこにいた。
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