19人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ゆう君、いつからいるの……?」
「清子こっちおいで」
最初から全部聞かれていたんだ。
カップを見つめたまま顔を上げない婚約者を見下ろし、体から血の気が引いていくのを実感した。
ゆう君は、きっと怒っている。
優しくて穏やかで大人なゆう君だって、この半年間、私がしていたことを知れば怒るのは当然だ。
婚約中の彼女が元彼と二股をしていたことになるのだから。
「きよ」
かすれた声で私の名を呼ぶゆう君に、返事ができないまま、私はごめんなさいと呟いて、そのまま店を飛び出した。
願いが叶った代償に、私の愚かな手は幸せを掴むことができなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!