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「それに。清子は加藤君をめった斬りにして俺を選んでくれたじゃん」 ゆう君がくしゃりと微笑む。 「嬉くてちょっと涙出たよ。さぁ、もう戻ろう?俺、さっきのファミレスのレジに財布ぶん投げて置いて来ちゃったからさ」 微笑むゆう君が差し出した手を取り、私は歩き出す。 「それはちょっと……恥ずかしいね」 「清子が逃げるから急いで追いかけたんだもん。もう恥ずかしついでにコーヒー飲んで帰ろう。ちゃんと温かいやつ」 舞い散る桜が綺麗だと思えた。 私の加藤君への想いも、こんな風に綺麗に散る日は来るだろうか。 好きだった。 すごくすごく好きだった。 嬉し涙はきっとこんな時に流せばいいんだろう。 ゆう君に手を引かれて、私は再びファミレスのドアをくぐる。 桜の季節は私の味方になってくれた。 この時はまだそんな気がしていたんだ。
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