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―――
「清子」
名前を呼ばれ手に触れて。
一年前と変わらぬ優しい眼差しに再び涙が滲む。
「ごめんね、清子。俺、清子にかなりひどい事言ったり……色々やらかしたよね……」
アパートまでの道のりは春の香りに満ちている。
「本当ごめん、取り返しがつかない……、恥ずかしい……。どうしよう、あぁ」
ゆう君は道中ずっと謝りっぱなしだ。
「いいよ。私だって……、加藤君に逃げた」
「だってそれは……、そうしないと清子が壊れてたでしょ。悔しいけど、俺もう加藤君に頭が上がんないよ」
ゆう君がいて、加藤君がいて、陸人がいて、私たちはこの一年で随分と奇妙な関係になってしまったなと思う。
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