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「お花見しながら帰ろうよ」
去年は桜吹雪の中を泣きながら二人で走った。
今年の桜はまだ咲き始めだ。もう何日もしないうちに満開になるだろう。
私とゆう君もきっとすぐに日常を取り戻せるはず。
「私、早く体調良くなるように頑張るからね」
「なに急に?清子はまだ無理しなくていいんだよ。俺、もう絶対に清子のこと忘れないし、ずっと一緒にいるから」
「ゆう君を助けられるようになりたいの」
守られて助けられてばかりの自分から一歩前進したいと思った。
人は色々な人に支えられて助け合って、喜びや悲しみを共有しながら生きていくのだ。
弱い部分は補い合えばいい。弱さは恥ずかしいものではない。お互いを認め合うこと。許し合うこと。加藤君と陸人がたくさんのことを教えてくれた。
「きっとまだゆう君に助けてもらうこともあると思うけど。だけど、私にだってゆう君のためにできることが何かあるはずだから、そうやって一緒に進みたいの」
繋いだ手のひらがあたたかい。
「ありがとう。だけど、知ってると思うけど、俺はどんな清子だって大好きだよ」
ゆう君は嬉しそうに笑ってくれた。
好きだった。
ずっとずっと好きだった。
これまでの加藤君への想いも、これからのゆう君への想いも、大事に、ずっと大事に忘れないように生きていこう。
今年の桜もまた、私の味方になってくれた。
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