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「せめて日が落ちるまで考えてみたらどうだ?私とて簡単に雄造と死に別れるのは嫌だ。だから私も一緒に考える」
雄造の目を真っ直ぐに見つめる雪の笑顔に雄造の口も緩む。
「まったく……。雪には敵わないな。だが、考えはまとまった。今日はここまでにするよ。また雪を拐われては俺の心がもたないからな」
雪の顔が赤くなる。
「そういうことを容易く言える雄造は、やはりかぶき者だ……」
「こんなことを言うのは雪にだけだ。他の誰にも言う気はない。まず今夜はオレ考えを聞いてくれ」
火を起こし、寄り添う二人。
頭上には欠けた月。
星は煌々と光る。
「よくよく考えたならば、津上屋に与する広臣様の家臣は少ないはず。俺らは追われる身だが、広臣様の娘の雪が起つとなれば協力もしてくれるはずだ」
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