『盟友』

7/12
前へ
/12ページ
次へ
無邪気にさらりと雄造にとってうれしい言葉を雪は発する。 それ故に雄造は、更に雪を大切に思える。 当たり前な夫婦ではないが、二人ともまだ若いが、十五歳の雄造と十歳の雪は紛れもなく強い絆で繋がれている。 「行こうか」 昨日と同じように雪の手を引く雄造。 それについていく雪。 周囲に気をくばいながら、おそるおそる中野泰宗の屋敷の前につく。 「無事ついたな……。この辺りは私たちの仇討ちはまだ知れ渡ってないのだろうか?」 「まさか。俺が思うに泰宗殿が手を回したのでは?って思うが……。まぁいい。入ろう」 と、雄造が言った瞬間、門が開いた。 「雪様、お待ちしておりましたね。雄造も久しぶりだな」 「泰宗様!」 雪の嬉しそうな声が響いた。 白髪で皺が深く刻まれた老人泰宗は雪を抱き上げる。 「必ず来ると思っていましたよ。雄造、入れ」 呆気にとられた雄造だった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加